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こどもの健康
母乳保育と薬
母乳保育中に、お母さんが何らかの薬を服用しなければならなくことは、しばしばあることと考えられます。厳密にいえば、全ての薬は母乳中に移行しうると考えられ、100%安全な薬など存在しないといえます。危険性のみを考えれば、薬は使わないほうがいいのですが、現実には薬を使わなければならない場合もあります(赤ちゃんでも必要であれば薬を飲むのですから)。一般的に授乳中に使用されていて、特別問題を起こしていない薬剤であれば、短期間(1週間程度)の使用はあまり問題ないと考えます。おのおのの薬についてある程度のデータがありますので、医師に相談してください。
授乳時の工夫としては、薬によって違いもあるかと思いますが、お母さんが薬を飲む直前になるべく多めに授乳するのが良いかと考えます
乳児期早期の湿疹
生後2週間から、3カ月頃の赤ちゃんは、皮脂の分泌量が多く、皮脂や汚れがたまりやすく、頭、顔、首まわりにブツブツができたり、ジクジクしたり、黄色いカサブタのようなものが、頭、眉毛に沢たくさんついたりと皮膚のトラブルがよく認められます。
これらは、汗疹(あせも)や、にきび、脂漏性湿疹であったりするのですが、最初にするべき治療は同じです。いずれにしろ、皮膚が汚れるために起こるものですので、薬で治すというより、皮膚をきれいにすること(スキンケア)が大切です。お風呂に入るときは顔、頭も全て石鹸をつけて洗ってください。赤ちゃんの肌はデリケートですので、傷つけないように石鹸をよくあわ立て、手で洗ってください。石鹸は必ずよく洗い流してください(石鹸が残るとかぶれることがあります)。洗ったあとは柔らかいガーゼ、タオル等で水気をふき取ります(こすってしまうと皮膚を傷つけます)。またミルクを飲んだ後なども、汚れが残らないようこまめに拭いてあげてください。
塗り薬はスキンケアの補助手段として使用します。スキンケアをせずに薬だけ使用しても作用は不十分ですし、再発もします。ひどいものでなければ、非ステロイド系のお薬で十分改善が期待できますし、ステロイドを使用する場合でも短期間の使用とスキンケアの継続で改善することがほとんどです。この時期の湿疹はアトピー性皮膚炎とは関係ないことが多いと思われます。
なお4カ月を過ぎても湿疹が改善しない場合は、アトピー性皮膚炎等も考慮しますので、医師に相談してください。
赤ちゃんの鼻水、くしゃみ
赤ちゃんの鼻の粘膜はとても敏感にできています。そのためちょっとした刺激(冷気、煙等)により炎症を起こし、くしゃみや鼻水がでることがあります。これは必ずしも風邪ということではありません。普段と変わらずに元気でミルクも普通に飲んでいれば、そのままにしておいても問題ありません。
風邪の場合はほかに、熱が出たり、咳がでたり、汚い鼻水がいつまでも続いたり、元気がなくなったりといった症状がでます。また、鼻づまりがひどく、ミルクがうまく飲めなくなる場合も、他の病気が隠れている可能性もありますので、診察をうけてください。
赤ちゃんは普段、主に鼻で呼吸をしています。そのためあまり鼻水が多くなると、呼吸がしにくくなり苦しくなります。そのようなときは、スポイト(いろいろなタイプの物が市販されています)などで鼻水を吸ってあげてもよいと思います。
あせも
汗の出口である汗腺がつまって炎症を起こしたものがあせもです。汗腺の多い頭、おでこ、首、わきの下、背中、オムツの中などによくできます。汗をかきやすい夏場に多くできます。汗腺に細菌感染を起こして、1cm大の赤いおできになった状態は「あせものより(汗腺のう胞)」とよばれます。
あせもの予防は基本的にはスキンケアです。汗をかいたらこまめに拭いて、衣服も着替えます。衣服は汗をよく吸収するものを選んでください。裸でいるより、衣服をこまめに変えるほうがあせもはできにくくなります。シャワーもお勧めです。エアコンの使用は問題ありません。快適な温度を保ってください。
軽いあせもはスキンケアだけで改善しますが、かゆみを伴いますので、掻き壊して湿疹化したり、あせものよりになったりすることがあります。悪化の兆しがあれば病院を受診しお薬をもらってください。
耳垢はどうするか
耳垢とは、外耳道の皮膚がはがれて耳の分泌物と混ざったもので、皮膚の垢と同じようなものです。耳垢は耳の奥のほうから出口に向かって、自然に押し出されてくるようになっているため、原則、耳掻きを使ってかき出す必要はありません。かき出す場合は、耳の穴の入り口近く5mm程度をとれば良いといわれています。いわゆるあめ耳(湿性耳垢)の赤ちゃんで、外耳道から耳垢が出てきているのであれば、ガーゼ等でふき取ってあげればよいでしょう。
耳介が赤くなって、黄色いカサブタがこびりついているような場合は、耳垢というより、湿疹である可能性もあります。通常スキンケア(石鹸をつけてよく洗う)、塗り薬で改善します。
耳垢は取る必要はないと書きましたが、ときに耳の穴を塞ぐくらいにたまってしまうこともあります。この場合は無理に取ろうとすると傷つける可能性がありますので、耳鼻咽喉科に相談することをお勧めします。
断乳(母乳をやめる)について
いつまで母乳を与えるかということは、いろいろな考え方もあるため、明確にいつとはいえない部分があります。個人的には、1歳から1歳6カ月頃と考えます。
お子さんの成長に伴い、栄養摂取は母乳から離乳食中心に変わっていきます。離乳食がしっかり食べられないうちに断乳しますと、足りない分を人工乳で補うことになります。お母さんの仕事等の関係で、昼間授乳ができないといったこともあると思いますが、昼は人工乳、夜は母乳という混合保育も可能です。すなわち、現在母乳保育をしているのであれば、特別な理由がない限り、離乳食の完了を待って断乳するべきであろうと考えます。離乳食の完了する時期は個人差がありますので、お子さんの離乳食の進み具合を見ながら時期を決めると良いと思います。また、あまり時期が遅くなると、歯並びや虫歯の問題がありますので、この点も考えると(10カ月~)1歳から1歳6カ月頃と考えます。季節としては、風邪の流行る冬季は避けたほうが無難と考えます。
断乳は予定日をあらかじめ決めて、計画的に行うことをお勧めします。断乳当日までは意識して母乳をたくさん飲ませてあげてください。断乳当日は、たくさんお子さんと遊んであげてください。最後に母乳を飲ませる時は、言葉でも「おっぱいは今日で終わりだよ」と伝えてあげると良いと思います。お子さんは幼くとも、雰囲気で思った以上に状況を理解するものです。母乳をやめる時はピタッとやめてください。通常2日、3日でお子さんは落ち着きます。
なお、断乳によりお母さんが、乳腺炎(発熱、乳房の疼痛)等にかかることがありますので、その際は婦人科を受診してください。
赤ちゃんの頭の形
赤ちゃんの頭の骨は柔らかく、まだ固まっていませんので、長時間同じ姿勢でいると、自分の頭の重さで下になった部分が扁平になり、いびつな頭の形になることがあります。平らになった部分が下になると、安定性がよく赤ちゃんも楽なため、頭の向きを変えてもすぐに元の位置にもどってしまうということになります。ドーナツ枕等を試しても良いと思いますが、うまくいかないことが多いようです。しかし、赤ちゃんは日々発達していきます。最初は寝てばかりいても、やがて寝返りをし、お座りするようになり、立って歩くようになります。つまり、寝ている時間は短くなっていくのです。また頭の大きさもどんどん大きくなっていきます。1歳のお誕生日頃にはあまり目立たなくなっているはずです。
最終的な頭の形というのは、かなりの部分は遺伝的な要素で決まるといわれています。早い話が、お父さんか、お母さんのどちらかとそっくりな頭の形になるということです。ちなみに、日本人は民族的にはいわゆる絶壁頭が多いといわれています。これは決して赤ちゃんの時に形が変形したからではありません。
頭の形が問題となるのは、生まれつきの病気である奇形症候群や、骨系統疾患と呼ばれる骨の病気などの場合で、通常他の異常(顔貌の異常や、手足の奇形、心疾患等)も併せ持っています。このような場合は医師の診察を受けてください。
赤ちゃんの視力
赤ちゃんの視力はいったいどのくらいあるのでしょうか?
赤ちゃんは生まれた直後より目は見えています。ただしその程度は光がわかる程度といわれています。新生児でも急に顔に光が当たったりすると、まぶしがる動作がみられます。また30cmくらいはなれた状態で人の顔がゆっくり動くと目で後を追うことがあります。
生後1カ月から2カ月頃には30cmくらいの距離で人の顔をじっと見たりするようになります。ただしこの頃で視力は0.01位といわれています。
赤ちゃんの視力は
2カ月:0.01
4カ月:0.03
6カ月:0.06
8カ月:0.1
程度といわれています。
赤ちゃんの聴覚障害
こどもの難聴は成人と異なり、放置した場合に、言葉の遅れ、知能の遅れ、情緒障害などを引き起こすことがあります。そのため早期発見が必要となります。以下に示す症状がある場合は、医師に相談することをお勧めします。
*新生児期に難聴のハイリスク要因があった場合。
家族内の難聴の存在、妊娠中に風疹やサイトメガロウイルス感染症にかかった場合、耳介やその周囲の形態異常、頭部顔面の奇形、低出生体重児、高ビリルビン血症、重症の呼吸障害、染色体異常、新生児期の重症感染症など。
*生後1カ月まで
近くで突然大きな物音がしても、泣いたり、驚いたりしない場合。
*生後3~4カ月
近くで突然大きな物音がしても、目覚めたり、身動きしない場合。
*生後4~6カ月
近くで物音がしたときに、音の方向を目で探したり、音の方向に振り向かない場合。
*生後6~9カ月
物音や声に反応なく、呼びかけにも振り向かない、かたこと(あーあー、うーうー等)も出ない場合。
*生後10~12カ月
かたこともしゃべらず、簡単な言葉も理解できない場合。
*1歳6カ月
自分の希望を身振り手振りのみで示し、言葉を発しない場合。テレビの音を極端に大きくして見る、テレビの音を消しても平気で見続けている場合。
赤ちゃんの斜視
一方の目が正常の位置からずれていることを寄り目(斜視)といいます。これは単に見かけの問題だけではなく、視力の問題(弱視)とも関係があります。物を見る機能は6歳頃までに完成するといわれますが、正常な視力の発達のためには、目の位置が正常で視力が左右とも良好であることが必要となります。寄り目(斜視)は早いものでは生後3~6カ月頃から認められます。良好な視力のためには、手術が必要な場合もありますので、眼科の医師とよく相談する必要があるでしょう。
なお一見して目が寄っているように見えても異常がないこともよくあります。おおざっぱな見分け方として、赤ちゃんが光などを見つめているときに、左右とも瞳の真ん中に光が入っていれば、まず問題ないといっていいでしょう。また写真で赤目になっている写真をさがしてみてください。両目が赤目になっていれば問題ありません。片目だけ赤目になっている写真が見つかった場合は斜視である可能性が高くなります。その場合は眼科の医師に相談してください。
赤ちゃんの赤あざ
いわゆる赤あざですがいくつか種類があり、予後も違いがあります。まず自然に消えていくものですが、
1.サーモンパッチ
生まれたときより、まぶたの上、眉間中央部などにある、境界不鮮明な淡紅色のあざ。1歳過ぎに自然に消えます。後頭部に見られる場合はウンナ母斑といい、これは残ってしまうことが多いです。しかし通常は髪の毛で隠れるため目立ちません。
2.イチゴ状血管腫
はじめは平坦な赤いあざですが、生後数カ月からいちご状に盛り上がって大きくなってきます。1歳頃を境に小さくなり消えていきます。通常無治療で問題ありませんが、巨大なものは跡を残す場合があり、レーザー療法等を行うこともあります。イチゴ状血管腫は血管の塊のような物ですので、傷つけないような注意は必要です。
消えないものとして
3.単純性血管腫
出生直後よりあり、盛り上がらない境界鮮明不規則な赤あざです。自然治癒はしません。巨大なもの、顔面部にある場合は随伴症状を認めることがあるため、医師の診察が必要です。